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~改正相続法の解説~
相続法の改正により、「特別寄与料」が認められるようになりました。
特別寄与料とは、一定範囲の親族が被相続人を介護するなどして遺産の維持や形成に貢献した場合に請求できるお金です。
これまでは相続人以外の人が介護をしても遺産を受け取れませんでしたが、今後は介護や労務提供が報われる事例が増えてくると予想されます。
今回は親族の特別寄与料について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。^
1.特別寄与料が認められる要件
特別寄与料が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
1-1.被相続人の一定範囲の親族であること
亡くなった人の一定範囲の親族でなければなりません。
まったくの他人には特別寄与料が認められません。
特別寄与料が認められる可能性があるのは以下の親族です。
- 6親等内の血族
- 3親等内の姻族
たとえば孫やひ孫、甥や姪、いとこ、息子の嫁や娘の婿などに特別寄与料が認められる可能性があります。
1-2.無償で被相続人を介護、労務提供した
特別寄与料が認められるには、被相続人を無償で介護したり事業を手伝ったりして遺産の維持形成に貢献しなければなりません。
有償で介護したり事業を手伝ったりしても特別寄与料は認められません。
また金銭援助や扶養などの方法によって被相続人を支援しても、特別寄与料は発生しません。この点で相続人の寄与分とは異なるので注意しましょう。
2.特別寄与料に関する法律の施行時期
特別寄与料の制度が施行されたのは2019年7月1日なので、それ以後の相続が対象となります。2019年6月30日までの相続については、特別寄与料は発生しません。
3.特別寄与料の請求方法
特別寄与料を受け取るには、特別寄与者が相続人へ特別寄与料を請求する必要があります。
遺産分割協議とは別の手続きなので、遺産分割協議に参加する必要はありません。都合の良いタイミングで相続人に請求するとよいでしょう。
相続人が払ってくれない場合には、家庭裁判所へ「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てましょう。調停が不成立となった場合、審判になって裁判所が特別寄与料を計算し、必要に応じて支払命令を出してくれます。
ただし家庭裁判所での特別の寄与に関する処分調停は、特別寄与者が相続開始と相続人を知ってから6ヶ月以内に申し立てなければなりません。相続開始などの事実を知らなくても相続開始後1年が経過すると申立ができなくなるので注意しましょう。
相続人が特別寄与料を払ってくれない場合、弁護士が代理で請求することも可能です。特別寄与料の算定も承りますので、介護や事業に貢献された親族の方がおられましたらお気軽にご相談ください。