相続人の立場になったとき、被相続人が借金などの負債を負っていたら注意が必要です。単純承認したら相続人が負債を払わねばなりません。
また相続対象になる負債は借金だけには限らず、家賃や税金も相続されます。
今回は負債を相続してしまった場合の対処方法をご説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.相続の対象となる負債
相続の対象となる負債の代表例として、以下のようなものがあります。
- 消費者金融やクレジットカード、カードローンの残債
- 事業用ローン、車のローン
- 滞納家賃
- 滞納光熱費
- 滞納税、滞納保険料
- 連帯保証債務、保証債務
- 未払いの買掛金
- 未払いのリース料
特に税金や保険料は、相続人が自己破産しても免責されません。
相続したくないなら、早期に「相続放棄」または「限定承認」によって対応する必要があります。
2.相続放棄で負債の相続を免れる方法
相続放棄は、資産も負債も一切相続しないことです。
相続放棄するとその人ははじめから相続人ではなかった扱いとなり、一切の相続をしません。借金を相続したくないときには非常に有効な対処方法といえるでしょう。
また相続放棄は「各相続人による単独の判断」でできるメリットもあります。他の相続人に知らせたり連絡をとったりする必要はありません。
相続放棄したい場合には、「相続開始を知ってから3ヶ月以内」に家庭裁判所へ相続放棄の申述をしましょう。
3.限定承認
限定承認は、資産と負債を通算してあまりがあれば相続する対処方法です。
遺産の中の「資産」から債務を支払ったり遺贈したりした後、残りがあれば相続人が相続できます。
相続放棄と限定承認の違い
相続放棄をすると資産があっても一切相続できません。限定承認であれば、資産超過の際には資産を受け取れるメリットがあります。
限定承認の注意点
ただし限定承認は「相続人全員」が共同で家庭裁判所に申述しなければなりません。
1人でも単純承認したり非協力的な相続人がいたりすると、限定承認は難しくなってしまいます。
また限定承認によって資産を受け取れる場合、限定承認の手続きが終わった後に相続人が遺産分割協議を行って遺産を分け合う必要があります。
相続放棄に比べると、遺産相続に長い時間がかかってしまうのもデメリットといえるでしょう。
限定承認も相続放棄と同じく「相続開始を知ってから3ヶ月以内」に行わねばなりません。
借金を始めとする負債を相続したくない場合には、早めに相続放棄または限定承認をすべきです。被相続人に負債があって対応に迷われたときには、お気軽に弁護士までご相談ください。