遺産分割とは、遺された相続財産(遺産)を相続人同士で分け合うことです。
民法では人が死亡したときの遺産分割について、「法定相続人」と「法定相続分」が明らかにされています。法定相続人は「遺産相続する権利のある人」、法定相続分は「それぞれの法定相続人の遺産相続割合」です。
ところが民法では、具体的な遺産の分け方までは規定されていません。
たとえば「長男が不動産を受け継ぐ」「次男が預貯金を相続する」「不動産を売却して現金で分ける」などの具体的な方法は、民法だけでは決まらないのです。
そこで民法で定められる法定相続人同士が「遺産分割」を行い、具体的な遺産の分け方を決定する必要があります。
このページの目次
1.遺産分割の方法
遺産分割は、法定相続人が全員参加して行わねばなりません。
基本的には「遺産分割協議」という話し合いによって遺産を分配します。
遺産分割協議で法定相続人全員が納得すれば、遺産分割の具体的な方法が決まります。
遺産分割協議の進め方
遺産分割協議を進める方法については、特に法的なルールはありません。
全員が一箇所に集まって直接話し合ってもかまいませんし、電話やメール、LINEなどを使ってもかまいません。
ただし遺産分割協議が成立したら、必ず「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
遺産分割協議書がないと、合意した内容を明らかにできませんし、不動産の名義変更や預貯金払い戻しなどの具体的な相続手続きも進められません。
正確に表記しないと遺産分割協議書が無効になってしまうリスクもあるので、作成の際には弁護士に相談するのがよいでしょう。
2.遺産分割の期限は?
遺産分割には法的な期限がありません。
相続開始後5年後、10年後に遺産分割協議を行うことも可能です。
しかしあまり時間が経過すると、死後長期間、不動産の登記名義や預貯金の名義などが被相続人のままとなって混乱が生じる可能性があります。
また相続税の申告納税が必要なケースでは、各種の控除を適用できず税額が上がってしまうケースも少なくありません。
遺産分割協議は、できるだけ「相続開始後10ヶ月以内(相続税の申告納税期限)」には終えるのがよいでしょう。
3.遺産分割がトラブルになりやすいケース
以下のような場合、特に遺産分割トラブルが起こりやすいので要注意です。
- 前婚の際の子どもがいる
- 認知された婚外子がいる
- 遺産の中に不動産が含まれている
- 相続人同士の仲が悪い
- 行方不明の相続人、非協力的な相続人がいる
困ったときには弁護士に相談して、できる限りスムーズに遺産分割を進めましょう。
当事務所では遺産相続案件に力を入れておりますので、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。