遺言書がある場合の遺産相続方法と注意点

遺言書が遺されていたら、基本的に遺言内容に従って遺産を分配します。

ただし見つかった遺言書の種類や保管方法によっても対応が異なる可能性があるので、注意しましょう。

今回は遺言書がある場合の遺産相続方法や注意点を解説しますので、遺言書を発見した相続人の方などはぜひ参考にしてみてください。

1.自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は「検認」を受ける

自筆証書遺言

見つかった遺言書が「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」の場合、まずは家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。

検認を受けないまま遺言書を開封するのは違法であり、「過料」の制裁金を課される可能性もあるので注意しましょう。

また検認を受けていない遺言書では不動産の登記や預貯金の払い戻しなどの手続きを進められません。早めに家庭裁判所へ検認を申し立てましょう。

検認が不要な遺言書

自筆証書遺言であっても法務局に預けられていた場合には検認は不要です。公正証書遺言の場合にも検認を受ける必要はありません。

2.遺言内容に従う必要はある?

遺言書が遺されていた場合、基本的には遺言内容に従って遺産を分配する必要があります。

ただし相続人全員が合意すれば、遺言書と異なる方法で遺産分割してもかまいません。

たとえば父が「すべての遺産を長男へ相続させる」と遺言していても、子どもたちが全員合意すれば兄弟間で平等に分割することができます。

なお相続人以外の受遺者がいる場合、相続人が合意しても受遺者への遺贈を無視できないので注意しましょう。

3.遺言が無効になる場合

遺言書があっても「無効」になるケースが少なくありません。

たとえば自筆証書遺言や秘密証書遺言で要式違反となっている場合や、遺言者が遺言能力を失った状態で遺言書が作成された場合などです。

遺言書が無効となる可能性がある場合、相続人同士で話し合って遺言書に従うかどうか決めるのが基本の対応です。

話し合いで解決できない場合、家庭裁判所で「遺言無効確認調停」を申し立て、それでも解決できなければ地方裁判所で「遺言無効確認訴訟」を起こさねばなりません。

なお検認を受けた遺言書でも無効になる可能性はあります。検認と遺言書の有効性には直接的な関係はないので注意しましょう。

遺言が無効であることが確定したら、相続人があらためて遺産分割協議を進める必要があります。

遺言書が遺されたとき、発見した相続人の当初の対応によっては大きなトラブルに発展する可能性があります。スムーズに遺産相続手続きを完了するため、一度弁護士までご相談ください。

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